religionsloveの日記

室町物語です。

2020-06-07から1日間の記事一覧

秋夜長物語㉕ーリリジョンズラブー

第二十四章 夢の内容を語り合った大衆の面々は思う。 「それでは、川に身を擲ったあの若君は、石山の観音様の変化であったか。我が寺門が焼失したのも、仏法を興隆し、衆生を救済する方便であったのか。」 三十人の衆徒は信心を肝に銘じて、たとえいかなる艱…

秋夜長物語㉔ーリリジョンズラブー

第二十三章 やがて大明神は、石段を上ぼり、社壇に入ろうとする。その時、通夜の大衆の一人、某の僧都が明神の前にひざまずく。涙を流しながら訴える。 「大明神、我々が三摩耶戒壇を建立したのは、勅許を求め、大方認められたいたからでごさいます。それを…

秋夜長物語㉓ーリリジョンズラブー

第二十二章 その後、園城寺の三摩耶戒壇建立の張本人の三十名は、焼き尽くされた三井寺に舞い戻る。しかし、この世の無常を嘆くよりほかすべがない。もはやここは我らが住むべき場所ではないのだ。長等(ながら)山を後にして離れ離れに仏の道を進むしかない…

秋夜長物語㉒ーリリジョンズラブー

第二十一章 旅人の語る年の程、衣装の様は疑いもなく梅若。 律師も童も全身から力が抜ける。その場に倒れ伏してしまいそうになる。 いや違う。ここはとにかく瀬田の唐橋へ。輿を舁く中間・下法師は言わずとも心得、前にも増して疾駆する。 唐橋に着く。と、…