religionsloveの日記

室町物語です。

2023-07-01から1ヶ月間の記事一覧

不老不死全編-異郷譚2ー

上 その一 昔から今に至るまで素晴らしいことと語り伝えられているものとしては、かの不老不死の薬にまさるものはないでしょう。 その昔、天竺では耆婆という人はこの薬を伝え聞いて、自らもこれを服して、生きながら天上に行って大仙人となったということで…

不老不死⑥-異郷譚2ー

下 その三 さて日本に不老不死の薬が伝来して知られることに関しては、神代の昔少彦名命(すくなびこなのみこと)と申すた御神は、薬の道をもって天上下地あらゆる人々を施療して病を癒し、諸々の御神には不老不死の妙方を授け申し上げなさいましたので、諸…

不老不死⑤-異郷譚2ー

下 その二 また秦の始皇帝は徐福という仙人にお命じになって、蓬莱山の不老不死の薬を求めさせなさいましたが、海は漫々として雲の波煙の波が立ちこめて影さえ見えませんでした.。風に任せ舟に任せて行きますと、南の海の中にひとつの山を見つけたのですが、…

不老不死④-異郷譚2ー

下 その一 さて、誘われるままに奥に入りますと、竜神は衣冠を正して出迎えて、孫子邈を七宝の曲彔に座らせ、自ら曲彔の椅子を横に並べ、礼儀に則った様子です。海の中全体にお触れを遣わして珍しい客人をもてなしました。海の各々は参上して接待をいたそう…

不老不死③-異郷譚2ー

上 その三 唐の時代に孫子邈(孫思邈、そんしばく)という者がいました。生来薬の道に詳しく、人の病を癒す方法にはこの上なく明晰でありました。その孫子邈がある時道を行くと俄かに空がかき曇り黒雲が四方に垂れこめて、夜の帳をおろすように暗くなり、墨…