religionsloveの日記

室町物語です。

2021-04-23から1日間の記事一覧

弁の草紙⑥ーリリジョンズラブ7ー

その6 ある時、人払いをして例の童を枕近くに呼んで、 「あこは知らないだろうねえ。千載集に見えるのだが、昔、奈良の都に侍従という童がいたそうです。その身はえも言われず美しく、ある人が親しくして世話をしていたそうだけれど、嫉妬して邪魔する人が…

弁の草紙⑤ーリリジョンズラブ7ー

その5 大輔は氷りついていた胸のつらさも溶ける思いで、夢ばかりの短い春の夜は、千夜分をを一夜に籠めて過ごそうと思っても、その甲斐もなく忽ち過ぎて、別れ去らねばならぬ時刻となった。有明の月は朧に照りもせず、曇りしない。弁の君の乱れてかかる黒髪…