religionsloveの日記

室町物語です。

2020-05-13から1日間の記事一覧

秋夜長物語⑩ーリリジョンズラブー

第九章 律師はこれを聞いて、心浮かれ魂乱れ、地に足がつかない。 夜更けて、鐘撞く音をつくねんと聞き、月が南へ廻るのさえ待ちかねていると、白壁の門の戸を誰かが開ける音がする。書院の杉障子から見やると、例の童が魚脳提灯を持って立っている。 二人の…

秋夜長物語⑨ーリリジョンズラブー

第八章 「聖護院の目と鼻の先に顔見知りの衆徒の僧房がございます。私が頼めば大丈夫ですから、そこに暫くご逗留なさって、折々御簾の隙間を気にかけてご覧になってください。いずれ機会も訪れましょう。」 と童は自信ありげに強く誘う。房主が桂寿をお気に…