巻一 第三章 このようにして、ニ三年が経った。 実家の父からは頻りに文が届いた。出家の督促であった。隠士はそのつもりで預けたのであった。賞玩のために供したのではない。 律師としてはもう少し、俗体のままで修学させたい気もしたが、それも親御の本位…
巻一 第二章 律師は侍従を山へ迎え入れ、改めて対面した。容姿が非常に優れているだけではない。心映えも優雅で、全てを心得ているように思われる聡明さも兼ね備えていた。 律師は、心の内でよき法嗣を得たと、なみなみなく期待をかけた。房中だけでなく、近…
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