religionsloveの日記

室町物語です。

2022-09-01から1ヶ月間の記事一覧

塵荊鈔(抄)⑮ー稚児物語4ー

第十五 このようにして新発意となった花若は、師匠や同朋との別離がこらえようもなく悲しく、事に触れて大衆に交わることも空しく思われて、無常の思いばかりが心に染みて、常に静かに物思いなさっているのでした。「この世に飽きて、その秋(あき)風ではな…

塵荊鈔(抄)⑭ー稚児物語4ー

第十四 さて、花若殿は、朋友の玉若殿との別れといい、頼りになさっていた師匠との御別れなど、あれこれ世を厭う思いがますます深くなっていき、「いつまで他の人が先立って、最期に行く死出の道を嘆くのだろうか。恩愛別離の悲しみ、老少前後の恨み、何事が…