religionsloveの日記

室町物語です。

2021-05-14から1日間の記事一覧

松帆物語④ーリリジョンズラブ8ー

その4 その頃、時の第一人者として思いのままに政治を執り行っていた太政大臣の御子で、左大将殿という方がいた。その御前で、源氏物語の雨夜の品定めではないが、夏の雨が静かに降って日も永い頃に、くつろいで世間話などを人々がしていた。そのついでに、…

松帆物語③ーリリジョンズラブ8ー

その3 岩倉の宰相は、花の下で見た侍従の面影が頭から離れず、命も保てそうもないほど悶え苦しんで、どうにか伝手を探し出して手紙を送った。 「過ぎし時、花の下で見るともなしに眺めて以来、あくがれ出た私の魂はいつまであなたの袖の中にとどまっている…