religionsloveの日記

室町物語です。

2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧

あしびき⑰ーリリジョンズラブ2ー

巻三 第四章 比叡山では、このような不慮があるとは知るようもないので、約束の日も待ち遠しく思って、法師や童を遣わすと、得業は侍従の手紙を見るや否や、とめどなく涙を流すので、使者も不審に思って、内内、身内の者に訪ねると、若君は何日か前に、得業…

あしびき⑬ーリリジョンズラブ2ー

巻二 第六章 そのまま夜を明かすわけにもいかないので、侍従は若君の手を引き、自分の僧房へと誘った。若君は侍従の部屋に旅の具足があつらえられていて、すぐにでも修行の旅に出ようとしていた様子が見て取れたので、きっと侍従の方でも、つらい気持ちでそ…

あしびき⑪ーリリジョンズラブ2ー

巻二 第四章 得業が逗留した白河の宿所に着くと、主は喜んで迎え入れた。 「そういえば、奈良へ下向いたしました日の夕べに、山の人とか申す者が若君に行方を訪ねて参りましたぞ。もはや奈良へ下りましたと告げたところ、ひどくがっかりして、『普段から奈良…

あしびき⑥ーリリジョンズラブ2ー

巻一 第六章 侍従は、父の実家にいる日々も重なったので、そういつまでもこうしているわけにもいかない、山に帰り上らねばと思ったが、人には語れない稚児への思いが思いが日々強くなっていった。なぜに縁もゆかりもない人と出会って心を悩ませるのだろうと…

あしびき⑦ーリリジョンズラブ2ー

巻一 第七章 侍従は山に登っても、白河のことばかりが気にかかって物思いに沈んでばかりいた。律師も侍従が尋常ではないことに気づきあれこれ訪ねて不審を募らせる。そんなわけで、用件が済んだからとさっさと山を下りるわけにもいかず、どうにも仕方なく四…

あしびき⑤ーリリジョンズラブ2ー

巻一 第五章 次の日も侍従は隣家に立ち寄って、昨夜の邸を窺った。すると御簾の内から十四五ほどの稚児が縁側に立ち現れた。「これがあの琵琶の音の主なのだろう。」と見た。 用紙、人品、立ち居振る舞い髪の筋が垂れ下がっている様子も、波一通りでなく透き…