巻二 第五章 九月中旬の頃なので、高嶺の強風が雲を払って月もほのかに見え隠れして、夕べに奥深い谷川の岩たたく水音ももの寂しい。鹿や虫の哀しみを誘う泣き音を聞くにも、大江千里の「月見れば千々にものこそ悲しけれわが身一つの秋にはあらねど」が思い…
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