religionsloveの日記

室町物語です。

2020-08-04から1日間の記事一覧

あしびき⑩ーリリジョンズラブ2ー

巻二 第三章 若君は人家を見て門を敲いて、宿を貸してほしいと申し出た。宿の主は不審に思って、「この里人はそうでなくても見知らぬ人を泊めませんよ。まして旅の宿は日が暮れて借りるものなのに、月が西に傾いて通常なら出立を急ぐはずの暁に泊めてほしい…

あしびき⑨ーリリジョンズラブ2ー

巻二 第二章 傍らに付き従う童を見るにつけても、白河の逢瀬ばかりが思い出されてふさぐ様は、以前の稚児とは別人のようで、僧都も、「私のように中途半端に年を取ると、ひがみっぽくなって。」などと、他の人に心奪われている若君に、あれこれと恨み言をい…

あしびき⑧ーリリジョンズラブ2ー

巻二 第一章 若君は奈良に下り着いても、侍従の面影が忘れがたく、まだ見ぬ比叡の白雲が気にかかって、慣れ親しんだあの夜の月影を思い浮かべて、子細を知っている童を呼んでは、白河の出来事を語っては心を慰めていた。 そんな具合であるので、得業は若君を…